旅費規程とは、出張を行う際に支払われる日当、いわゆる出張手当に関する決まりを細かく指定した言わば出張旅費に関する組織ごとの法規のようなものじゃ。
もしサラリーマンである場合は、出張に出向く際に事前に仮払い申請を行い会社から日当及び宿泊代の支給を受けた経験をお持ちの方も多いことじゃろう。
尚、この出張にかかる費用に関しては実際に出張時にかかった費用である実費精算で清算を行う場合と、あらかじめ社内の就業規則内に定められている旅費規程に沿って定額支給される清算方法がある。
旅費規程の作成は会社に義務化されているものではない。
その為、旅費規程が存在する会社もあれば存在しない会社がある点も覚えておく必要があるのぉ。
しかし、法的に作らなくても良い出張旅費規程をあえて作成するには何らかのメリットがあるはずじゃ。
このメリットは出張手当を支給する会社側、支給される従業員側双方にメリットがあるのじゃが、ここでは簡潔に旅費規程を作成した場合の出張手当のイメージを覚えておくと良いじゃろう。
出張手当を定額支給で行っている会社の場合、仮に2泊3日の出張が決まったとする。
この際に会社から支払われた出張手当金は16000円だったとする。
この時、出張に出向いた従業員が少し節約を兼ねて格安の1泊3500円のビジネスホテルに2泊したとすると、実際に宿泊費として支払った金額は合計7000円となる。
しかし、実際に会社から支給された16000円じゃ。
出張手当から実費としてかかった7000円を差し引くと9000円の費用が浮くことになるのじゃが、この9000円は原則として会社に返金する必要のない金額となる。
そして更に、出張手当は非課税所得であるため、この浮いた9000円は個人の課税所得に換算されない非課税所得となる点が大きなポイントとなっておる。
このように税制上、とても有利に活用できる出張旅費に関しては、会社で定めた旅費規程に則り手当金が支払われる事になっておるのじゃ。
出張旅費手当は前述したように税法上大変有利な手当金ともなる為、例えば法人を立ち上げる場合は、まず最初に旅費規程を作成すると言われる程、法人の節税対策の重要な項目を占めておる。
出張手当は、会社員はもちろん会社役員ももちろん手当金支給の対象となる事から、旅費規程によって役員や役職に応じて手当金を設定しておるという訳じゃ。
尚、法人と個人事業の利点・欠点を考える際にも、この旅費規程に関する点は大きな違いであると言えるのぉ。
法人組織ではなく個人事業形態の場合は個人事業主が支払った出張旅費は実際に実費として負担した領収証に記載された金額までしか経費として認められない。
その為、法人化を検討する際の大きなメリットとしても、この出張手当に関する税法上の扱いの違いを把握しておくことも大切じゃ。
出張手当は個人的には所得税・住民税の課税対象とならない非課税の収入である事は理解できたじゃろうか?
この税法上有利な出張旅費を上手に活用すると、個人の手取り収入が大きく増える事になるのも事実じゃ。
ここまでの話だけを考慮すると、旅費規程で設定する日当手当を高額に設定しておけば、年間収入を大きく向上することが可能となる。と考えた方もいる事じゃろう。
しかし、例えば役員の場合に旅費規程で「1泊7万円を支給する」と仮に定めたとしても、この金額が妥当な範囲を超えていると判断される場合は給与収入として課税所得扱いとなるケースも存在する。
その為、旅費規程で定める規程は一定の社会通念上の常識範囲で日当設定を行うことが求められてくるのじゃよ。
会社が出張の際に支給する日当や宿泊料、食卓料(食事代)は全額会社の経費として損金算入することが可能となっておる。
現実的には特に社長と社員数人で会社を運営している中小企業等では旅費規程そのものを作成していない企業が大半じゃ。
この旅費規程の作成が見送られている企業の多くは、旅費規程の作成が難しそう、もしくは旅費規程の存在自体知らなかったというケースが多くを占めておるのも事実じゃ。
旅費規程の作成は一定の決まり事や設定すべき項目、そして相場に見合う日当設定…⇒続きを見る
出張旅費の支給や精算は、基本的には実際に発生した費用である実費精算が基本じゃ。
しかし、旅費規程を作成している会社の場合は、宿泊料や日当など社内の就業規則内にある旅費規程で定める金額を基準として実費ではなく定額で出張費用の精算を行うケースが多くなっておる。
役員や社員が国内や海外に出張を行う際は、出張申請から精算まで幾つかの社内文書を作成する事が基本じゃ。
ここではまず、出張旅費の精算が行われるまでの出張の流れについて確認しておくとしよう。
尚、出張を行う際に担当者が提出すべき主な書類は以下の4種類じゃ。
出張が決まった際に、まず最初に社員が提出すべき書類のひとつが出張申請書と呼ばれる書類じゃ。
出張申請書では、予め解っている範囲での出張内容やスケジュール日程を記載しておくことが重要じゃ。
また、出張先で急ぎの用事などがある場合に直ぐに連絡がとれるように、出張先の連絡先に関しても分かる範囲で記載しておくように心がけておくことが大切なのじゃよ。
出張中に発生する経費に関しては、基本的に業務上発生する経費の一つであるため、原則として全て損金扱いとなる。
その為、出張終了後には、各自が負担していた自己負担分を会社に戻った歳に精算することになる訳じゃ。
しかし、通常は出張中に発生すると想定される交通費や宿泊費などの諸経費は事前に出張旅費の概算を計算し会社が仮払金として先に従業員に支給しておるケースが大半じゃ。
尚、この仮払金申請時は申請者が仮払金を受け取った際に必ず受領確認印を捺印させておくことが重要じゃ。
出張報告書は、出張旅費の精算を行う前に提出する書類じゃ。
基本的には所属する部署の上司に出張の内容や成果、所感に関する報告を書類にまとめて提出し、適切な出張であると判断される場合に出張旅費の精算が行われる事になる。
出張報告書の書式は、企業や業種など属性や性質によってフォーマットが異る事が大半であるため、出張報告書に関しては自社専用の雛形を準備しておくとよいじゃろう。
出張旅費精算書は、出張手当として支給される金額の計算や、出張に行く前に会社から受領した仮払金の精算を行うための書類じゃ。
出張旅費精算書には、出張中に発生した具体的な金額や項目を記載し、最終的な出張旅費を証明するための書類ともなるため、必ず作成しておくべき書類であると言えるじゃろう。
必要な項目としては「交通費」や「宿泊費」や「日当」、そして日当手当とは別に「食事代」を一定額支給しておるような場合は食事代などの具体的な項目を雛形に設置…⇒続きを見る
出張申請書とは出張が決まった際に、出張費用の仮払いを受ける前に出張のおおまかな概要を記載し提出する書類じゃ。
尚、出張申請書に記載すべき主な項目は以下の3つじゃ。
@出張内容
A出張期間
B出張期間中のスケジュール予定
この3項目以外にも企業の職種などに応じて記載事項が変化するものじゃが、旅費規定をこれから作成する入門者の方はとりあえず基本的な3項目を作成しておくと良いじゃろう。
ではここからは具体的な出張申請書の書き方について確認していくとしよう。
出張申請書の作成を行う際は、一から作成を行うよりも雛形を元に自社用の出張申請書を作成していくと便利じゃ。
参考までに自社で使用しておる出張申請書のひな形(PDF)及びテンプレート(ダウンロード)をアップしておるので確認してみると良いじゃろう。
⇒出張申請書のひな形(PDF)
⇒テンプレート(ダウンロード版)
⇒テンプレートご利用に関する確認事項
出張申請書の@出張内容の書き方を確認しておくとしよう。
出張内容は営業職であれば販売販路の拡大に関する交渉や自社製品・自社システムのプレゼン、技術職であれば製品の修理やクレームの対応など、各企業の営業形態によって様々な出張内容があるものじゃ。
@の出張内容の項目では出張先と出張期間(日帰りでも記載する)、そして出張の目的を簡潔にまとめて記載する点がポイントじゃ。
続いて出張申請書のA出張期間の書き方について確認していこう。
出張期間は出張の出発日と出発時刻、そして帰着日と帰着予定時刻を記載するだけじゃ。
出発時刻や帰着時刻を記載する目的は、会社によって旅費規定によって別途加算支給項目を設定しておる場合があるためじゃ。
例えば、朝5時に家を出なければ出張先に間に合わないような場合で考えてみるとしよう。
普段であれば7時に家を出れば会社の始業時刻に間に合う場合、出張時は移動中ではあるものの、いつもより2時間早く出社している(もしくは2時間拘束時間が長い)と考える事も可能じゃ。
その為、始業時間よりも◯時間前に出発時刻を迎える場合は日当を1000円プラスするなどの規定が設置されておる場合があるのじゃな。
尚、これは帰着時間に関しても同様じゃ。
最後に出張申請書のB出張期間中のスケジュール予定の書き方について確認しておこう。
スケジュール及び予定に関する項目は、予め出張を予定している日程と訪問先、そして訪問先の連絡先を記載するのが基本じゃ。
連絡先に関しては、担当者に連絡がつかない場合や不慮の事態に備えて必ず項目を設置し連絡先を記入…⇒続きを見る
出張旅費の仮払金申請書とは出張を行う際に必要となるであろう経費を予め算出し、必要分の経費を事前に会社から受領するために提出する書類の事じゃ。
また、仮払金の受領証とは、社員が仮払金を受け取った事を証明するために書類として残す為の書類であり、出張旅費の仮払い精算の場面では、仮払金申請書と受領証を1枚の書式でまとめるケースが一般的じゃ。
尚、出張旅費の仮払金申請書・受領書に記載すべき主な項目は以下の3つじゃ。
@仮払申請内容
A仮払い金の主な内訳
B仮払の受領確認
この3項目以外にも企業の職種などに応じて記載事項が変化するものじゃが、旅費規定をこれから作成する入門者の方はとりあえず基本的な3項目を作成しておくと良いじゃろう。
尚、以下で紹介する雛形は申請書と受領証が一枚の書式にまとめてあるタイプとなっておるが、会社によっては別々に書類を準備しておるケースもあるので覚えておくことじゃ。
ではここからは具体的な出張旅費の仮払金申請書・受領書の書き方について確認していくとしよう。
仮払金申請書・受領書の作成を行う際も、前項の出張申請書同様に一から書類の作成を行うよりも雛形を元に自社用の出張申請書を作成していくと便利じゃ。
参考までに自社で使用しておる出張旅費の仮払金申請書・受領書のひな形(PDF)及びテンプレート(ダウンロード)をアップしておるので確認してみると良いじゃろう。
⇒出張旅費の仮払金申請書・受領書のひな形(PDF)
⇒仮払金申請書兼受領書テンプレート(ダウンロード版)
⇒テンプレートご利用に関する確認事項
仮払金申請書兼受領書の@仮払申請内容の書き方を確認しておくとしよう。
仮払申請内容の項目は、今回行う出張の目的を記載し、実際に仮払として請求する金額を記載する。
この際に、仮払を受ける日時及び、出張帰社後の仮払精算予定日についても現在わかる範囲で日時を記入する必要がある。
尚、ここに記載する日時に必ず帰社しなければいけないという訳ではない為、出張からの帰社予定日は現在わかる範囲の日程を記載しておけばOKじゃ。
続いて出張申請書のA仮払い金の主な内訳の書き方について確認していこう。
この内訳欄の記入に関しては出張で発生する交通費と宿泊費、また遠方の取引先等へ出張する場合はお土産等の購入費用の概算を記載しておけばOKじゃ。
@の仮払申請内容の一番最後に記載する「仮払金額」とは、ここで計算した概算の出張旅費という訳じゃな。
尚、実際の出張では事前に予想されていた経費以外にも突発的に発生する費用があるものじゃ。
そのため、出張前に実際に申請した金額よりも実際の必要経費が多くかかり、個人からの持ち出しとなるケースも出てくる為、仮払金は予備費用を含めて受領するようにしておくと良いじゃろう。
最後に仮払金の受領確認欄の書き方について確認しておこう。
この受領確認の項目は会社から出張手当金が支給された際に、受領済みのサインを行う項目じゃ。
会社の経理担当者が直接社員に支給する場合は、必ず受け取った際の日付と金額、そして直筆のサインを記入してもらう事が何よりも重要じゃ。
サインを終えたら認印で良いので印鑑の捺印を行い会社で書類を保管を行なって仮払の手続きは終了じゃ。
尚、考えにくいケースではあるのじゃが、後で金額が一桁増えていた…などといった事がないように従業員も受領書のコピーを貰っておく事が本来のマナーじゃ。
当たり前の事ではあるが会社の金銭をやり取りする以上は口頭ではなく、全て書面に残しサイン…⇒続きを見る
出張報告書とは仮払金などの精算を行う前に、直属の上司などに出張の内容や成果を報告するための書類じゃ。
この出張報告書をしっかりまとめておくことで他の部署の社員なども企業間の繋がりや提携状況を確認しやすくなるなど会社全体としての重要な意味を持つ書類となる。
また経営陣としては、出張時の行動内容や成果を確認し、社員の評価付の参考書類としても活用される可能性があるじゃろう。
更に、この出張報告書は税務署の視点から見た場合は出張が実在したかどうか(いわゆるカラ出張)を確認する上でもチェックされる書類の一つでもある為、必ず作成すべき書類と言えるじゃろう。
尚、出張報告書に記載すべき主な項目は以下の3つじゃ。
@出張報告の概要
A行動(日時・訪問先)
B報告事項
この3項目以外にも個人的な所感を記載する欄や、今後の改善点記入欄など企業の職種などに応じて記載事項が変化するじゃろう。
尚、旅費規定をこれから作成する入門者の方はとりあえず基本的な上記3項目を作成しておくと良いじゃろう。
ではここからは具体的な出張報告書の書き方について確認していくとしよう。
出張報告書の作成を行う際は、一から作成を行うよりも雛形を元に自社用の出張報告書を作成していくと便利じゃ。
参考までに自社で使用しておる出張報告書のひな形(PDF)及びテンプレート(ダウンロード)をアップしておるので確認してみると良いじゃろう。
⇒出張報告書のひな形(PDF)
⇒出張報告書テンプレート(ダウンロード版)
⇒テンプレートご利用に関する確認事項
出張報告書の@出張報告の概要の書き方を確認しておくとしよう。
この項目は前項までに解説してきた内容通り、出張期間と出張訪問先、そして出張目的を記載しておけばOKじゃ。
あくまで出張の報告概要部分であるため、簡潔に記載する点がポイントじゃ。
尚、一番上の項目にある報告先はこの書類を提出すべき人の氏名を記載することになる。
その為、会社員であれば一般的に直属の上司の名前を書くケースが多くなるじゃろう。
誰に報告をしているのかを明確に記録する事も企業では重要なのじゃな。
続いて出張報告書のA行動(日時・訪問先)の書き方について確認していこう。
この行動欄は基本的に日程と時刻、及び訪問先を記載していくことになっておる。
細かい営業などは次のB報告事項の欄に記載する為、この欄は時系列がわかるように簡潔に出張中の行動履歴と活動内容がわかるように記載する点がポイントじゃ。
最後に出張報告書のB報告事項の書き方について確認しておこう。
報告事項欄は出張の内容を総括する項目であるため、他者が書類を見ても内容が理解できるように出張内を文章にまとめる事が大切じゃ。
尚、重要な報告部分では文章だけなく図面や資料などの準備も行うと良いじゃろう。
例えば、販路の拡大を行なうための営業を行った場合は、訪問先企業が利用している製品…⇒続きを見る
出張旅費精算書とは文字通り出張中の営業活動において発生した必要経費と、出張前に会社から支給された仮払金の精算を行なうために、経費の内訳を証明する為に提出する書類じゃ。
出張旅費精算は、旅費規程に定める日当や宿泊代、交通費などの内訳に対して費用の精算が行われることになる。
尚、一般的には仮払金は余裕を持って支給されるケースが多いための、多くのケースでは精算時に余った仮払金を返却する事で精算手続きを終えることになる。
尚、出張旅費精算書に記載すべき主な項目は以下の3つじゃ。
@出張内容報告
A出張旅費の内訳
B仮払いを受けた場合の精算額
尚、旅費規定をこれから作成する入門者の方は出張旅費の精算では領収証の提出もあるため、この3項目を準備しておけば十分と言えるじゃろう。
ではここからは、前項までと同様に具体的な出張旅費精算書の書き方について確認していくとしよう。
出張旅費精算書の作成を行う際も、やはり一から書類の作成を行うよりも雛形を元に自社用の出張旅費精算書を作成しておくと便利じゃろう。
参考までに自社で使用しておる出張旅費精算書のひな形(PDF)及びテンプレート(ダウンロード)をアップしておるので確認してみると良いじゃろう。
⇒出張旅費精算書のひな形(PDF)
⇒出張旅費精算書テンプレート(ダウンロード版)
⇒テンプレートご利用に関する確認事項
出張旅費精算書の@出張内容報告の書き方を確認しておくとしよう。
この項目は前項で解説した出張内容報告書に出張の具体的な内容をまとめている為、簡易的に出張先と出張期間と、そして出張目的を記載しておけばOKじゃ。
あくまで出張の報告概要部分であるため、この部分は簡潔に記載する点がポイントじゃ。
続いて出張旅費精算書のA出張旅費の内訳の書き方について確認していこう。
この内訳欄は旅費規程で定める基本的な項目を記載して金額を記入する事になっておる。
尚、旅費規程で定める項目には主に以下の項目があるので覚えておくことじゃ。
@交通費
A宿泊代
B日当
C食事代(別途支給がある場合)
@〜Bに関しては旅費規程を設ける場合は、設定すべき必須項目と言えるじゃろう。
Cの出張時の食事代に関しては、食事代の支給を行なう企業もあれば行わない企業もあるため、必ず項目を設ける必要もない。
また、食事代に関しては日当に含まれている場合も多いので、項目を設定するかどうかは各々の会社で確認をとってから検討すると良いじゃろう。(雛形及びテンプレートでは食事代の項目を除外してあります)
最後に出張旅費精算書のB仮払いを受けた場合の精算額の書き方について確認しておこう。
この仮払いを受けた場合の精算額の書き方は以下の手順で行なう。
出張旅費に関する書類の記載に関してはこの項目が最後の項目じゃ。
尚、出張旅費の精算書で行われる出張費用経費に関する項目は、原則として旅費規程に定められている項目のみを記載するようにすると良いじゃろう。
例えば営業活動を行なう上でどうしても必要となる予定外の出費があり、実費部分を社員が自己負担しているようなケースがあるとする。
この場合は、本書に雑費項目を設けてまとめて不足分の支給を受けることも可能ではあるが、厳密には旅費交通費とは科目が異る経費…⇒続きを見る
ここまでは出張旅費規程に付随する書類の作成方法と記入方法について解説を加えてきた。
先に付随する各書類の解説を加えてきた理由は、出張旅費規程は一度作成しておくと度々変更する事はないが、他の書類は出張の度に作成する必要があり、使用頻度が高くなる為じゃ。
また、当サイトはこれから旅費規程の作成を初めて行う入門者向きの解説サイトでもある為、各書類の記載方法や役割を理解しておいた方が旅費規程をより活用できるという思いもある。
ではここからは、いよいよ当サイトの本題となる出張旅費規程の作成手順と作成する際のポイントについて解説していくとしよう。
尚、ここで紹介する出張旅費規程は、日本国内における出張に関する旅費規程となっておる。
また本ページ記載の出張旅費規程の雛形はここまで解説をしてきた以下の4つの書類と連動しておるので再度確認が必要な方はチェックしておくことじゃ。
【出張旅費の精算・4つの書類】
@出張申請書
A出張旅費の仮払金申請書・受領書
B出張報告書
C出張旅費精算書
出張旅費規程の作成は節税という目的において作成されるケースも多くある。
しかし、旅費規程を作成し「定額支給」としておくことで精算業務を簡素化できるという経理業務遂行上のメリットがある点も見逃せないポイントじゃ。
尚、出張旅費規程を作成する際に各会社が自社の状況に合わせて設定すべき主な項目は以下の4つじゃ。
@片道距離(出張の種類の項)
A資格区分・等級(交通費の項)
B日帰り日当・宿泊日当(宿泊料および日当の項)
C宿泊料(宿泊料および日当の項)
これから初めて旅費規程を作成する場合は、まず雛形をひと通りチェックしておくと良いじゃろう。
⇒出張旅費規程のひな形(PDF)
⇒出張旅費規程テンプレート(ダウンロード版)
⇒テンプレートご利用に関する確認事項
旅費規程に該当する出張を定義する場合、約9割近くの会社が「勤務地から出張地域までの距離」を元に出張と承認するか否かの判断を下しておると言われておる。
出張の定義に関しては、この他にも出張地域に到着するまでの時間を元にするなど幾つかの方法が存在するが、本ページの出張旅費規程に関してはオーソドックスな「距離」を元に出張の種類を定義しておる。
尚、この出張とみなす距離の決め方は、100kmや150km、また400kmなど各会社ごとに設定する距離が異る為一定の基準というものは存在しない。
また、距離の測定方法としても地図上の直線距離と定める場合や、出張地までの実際の交通ルートの最短距離と定める場合などがある為、この測定基準に関しても各企業ごとの判断で決定する事になる。
尚、一般的に広く用いられている代表的な距離としては交通ルートの最短距離で片道150kmあたりが平均的な相場ラインじゃ。
距離の設定は出張とみなすかどうかの重要な項目となる為、会社の業績なども考慮し慎重に設定することが大切じゃ。
距離の設定を行う際の注意点としては出張距離の設定を100km未満に設定したり500km以上にするなど社会通念上の一般認識から大きく逸脱するような距離の設定は避けるようにすべきという点じゃ。
尚、当サイトのテンプレートの場合、上図の第4条(出張の種類)の黒丸部分を自社で定めた距離に設定する必要がある。
旅費規程では役職(資格区分)ごとに各交通手段の交通費や等級(クラス)に関する支給規定を設定するのが一般的じゃ。
役職の分類としては社長や役員、次長職、部長職、課長職、係長職、課長職、主任職、一般社員などで分類する。
また交通機関としてはJR・鉄道、航空機、船舶、タクシー、バス、自家用車等、出張先までの交通手段や出張先で利用が検討される交通手段について規程を定めておくと良いじゃろう。
尚、当サイトのテンプレートでは上図のように予め役職別の一般的な認識範囲における等級を記載しておるが、例えば航空機の場合、社長や役員だからといってファーストクラス、ビジネスクラスにしなければいけないという訳ではない。
あくまで自社の状況に応じて等級の設定を行うことが大切じゃ。
続いて日帰り日当・宿泊日当の決め方について確認していくとしよう。
この日帰り日当・宿泊日当の設定は各会社ごとに設定金額が大きく異る部分であると言えるじゃろう。
この日当金額の設定を行う際にまず把握しておきたいポイントは、一般的な日当の概念としては出張中の食事代や雑費などの費用が含まれているという点じゃ。
出張時の食事代を実費で精算しても良いが定額支給とする事で経理業務が簡素化される利点は大きい。
また、出張時は普段とは異る環境で仕事を行う事になる。
そのため、いつもならデスクに常備している備品を持ちあわせていなかったり、携帯の充電器を忘れたりなど、急な出張などでは経費として会社に申請しにくいであろう想定外の出費もあるじゃろう。
このような雑費を僅かでも援助する意味合いで日当額を考慮する配慮も大切と言えるかもしれんのぉ。
尚、旅費規程によっては、飲食代に関する設定を別途設けて定額支給を行なっておる場合もあるが、当サイトの雛形に関しては飲食代を含めた日当という位置づけとなっておる。
参考までに良く利用される金額設定としては「日帰り出張の日当は宿泊を伴う出張日当の約半額程度の支給」とする金額設定じゃ。
但し宿泊を伴う出張の日当金額の設定は、国税庁が日当の上限額を公表していない為、判断が難しい部分でもあるじゃろう。
その為、日当を決定する際は、やはりここでも「社会通念上の常識範囲」という見解を意識し日当金額を設定する必要がある。
尚、ここでは初めて旅費規程を作成する方の為に、過去の判例等を元に常識範囲内と判断できる日当の相場ラインについて記載しておく。
もちろんこの金額設定なら税務署にチェックされても必ず大丈夫と断言出来るものではない点については事前に把握しておくべき重要な注意点じゃ。
しかし、会社組織でしっかりと旅費規程を作成しておくことで「否認することもまた難しい設定ライン」であると考える事はできるじゃろう。
役職別の日帰り日当・宿泊日当の相場・目安 | |||
---|---|---|---|
役職 | 日帰り出張の日当 | 宿泊を伴う出張の日当 | |
社長・役員 | 2000円〜3000円 | 4000円〜6000円 | |
部長・次長 | 1500円〜2000円 | 3000円〜4000円 | |
課長・係長 | 1000円〜1500円 | 2000円〜3000円 | |
主任・一般 | 700円〜1000円 | 1500円〜2500円 |
最後に宿泊料の決め方について確認しておこう。
宿泊料の金額設定に関しても残念ながら明確な基準はやはり公開されておらんのが現状じゃ。
その為、宿泊料の金額設定に関しても一般的な相場ラインを元に各会社それぞれが旅費規程の金額設定を行なっていく事になる。
ここでも初めて旅費規程を作成する方の為に、過去の判例を元に常識範囲内と判断できる宿泊料の相場ラインについて記載しておくのでチェックしておくことじゃ。
役職別の宿泊料の相場・目安 | |||
---|---|---|---|
役職 | 宿泊料 | ||
社長・役員 | 12,000円〜16,000円 | ||
部長・次長 | 9,000円〜12,000円 | ||
課長・係長 | 7,000円〜9000円 | ||
主任・一般 | 6,000円〜8000円 |
出張時の出張手当の支給は、個人事業主には認められていない手当金のひとつじゃ。
その為、まだ旅費規程を持たない法人組織を持つ経営者の方は自社の規模を問わず旅費規程の作成について今一度検討しておいて損はないじゃろう。
赤字でも納税義務の生じる法人住民税を収めている以上、法人組織にだけ認められている出張手当を活用しないのはもったいない話でもあるしのぉ。
もちろん過度な節税や社長個人が多額の非課税収入を得る目的で旅費規程を作成し相場から逸脱した高額な宿泊費を設定する等の行為はお勧めしない。
しかし、社員のために日当や宿泊費の一般的な相場を把握し旅費規程導入…⇒続きを見る